●建築家の出来ること

(A-1)誰に相談して良いか判らない?!

「家を建てよう!」と思い立ったとき、その先どうしたら良いのか、すぐに想像出来ましたか?「どうしたら良いの?」と、迷われた方が多いのではないでしょうか? もしくは、どなたか相談にのっていただける方が居ましたか? それはお近くの不動産屋さんですか?知り合いからご紹介の工務店さん?それとも家族で出かけたハウスメーカーさんの住宅展示場?はたまた、ネットや雑誌で調べ始めましたか? そうなんです。家を建てるには、その相談窓口は沢山あるのです。 けれども、実際に現地で家を組み立てて造るのは大工さん(職人さん)達です。ですが、職人さんに家を建てるとき相談する人はめったにいません。実際には、家をつくる大工さんや職人さん達の周りにいる様々な人々が関わって家は出来ているのです。

 家づくりに関わる人々の種類で、家づくりはどのように変わって来るのでしょうか?皆様の一番の関心のひとつはコストでしょうから、まずはそこから。今、全く同じの形の家が2つ並んでつくられたとします。全く同じですから、その材料費と組み立てる大工さんの人件費は同じですから、同額のはずです。それに加えて、周りで関わる人達の数に比例する人件費と、住宅展示場の経費やTVコマーシャルなどの宣伝広告費などが加算されてお客様に請求されています。つまり人数が沢山いる大きな会社の方が、同じ家を建てる場合のコストは高額になるのです。逆にコストが同じというときは、材料費を抑え、大工さん達のコストを抑えたりして工夫されているのです。

 一方、家が建てられるコストを抑えるために関わる人達の数を少なくする場合、最低限必要な人達とはどんな役割かご存知でしょうか? それは、家の設計図を創る(描く)人=建築家と、設計図に基づいて職人さん達を束ねる現場監督さん(工務店)が居れば十分なのです。そして建築家(設計事務所)や工務店さんが大きなコストを払って宣伝をしているのは、あまり見たことはないでしょう。以外かも知れませんが、建築家+工務店の組み合わせが、真っ当なコストで家を建てる正しい入口なのです。

(A-2)どうして判らないこと(不安)ばかりなのだろう?

それは今まで経験しないことばかりだからです。誰が、いつ、どんな風に関わり、進んでいくのか、その場その場で方法が異なり定まっておらず敷かれたレールも無いので、想像が出来ないからだと思います。

 そんな場合は、スタートからゴールまでを通じて登場する人物を絞り選んで、常にその人物とやり取りを密に確かに行うことで、工程順序をはっきりさせて情報の整理をしておくことが、ご不安を解くカギになることでしょう。

 ではそれは誰か? 大きな会社のご営業担当者様でもなく、知り合いに紹介された交渉する人でもなく、不動産屋さんでもなく、不安を整理出来るのは、それは建築家なのです。建築家が出来るのは、

 ・ 誰が何を出来るかを知っている。

 ・ お客様のご要望を聞いて家を設計する。

 ・ 設計図に基づいて工事金額の見積を依頼する。

 ・ 工事中、設計図の通りに工事が成されているかをチェックする。

 

 建築家は建築主であるお客様と契約し、お客様のために建物の設計と工事中の品質監理を行います。当然、報酬はお客様から頂くので、建築家はお客様に対して誠実であり忠実でなければなりません。もしこの契約がなく、工事や取引に関わるものですと、関わる者の報酬はその工事費や取引の金額に比例した報酬となる場合がほとんどで、そうなるとお客様の都合を度外視して、どうにかして工事費や取引の金額を増やして自分の報酬を増やそうとする習性に対して否定は出来ません。すればお客様の財産は無駄に減るばかりでしょう。その習性に対し、ハッキリとNoと言えるのは、建築家の立場しかいないのです。

(A-3)設計施工一貫と、設計と施工の分離、どちらが良いの?

はじめに設計施工一貫方式について説明します。先ずハウスメーカー様や設計施工一括受注の工務店様の考え方として、世の中ほとんどの製品をメーカーが設計し製造しているのに、なぜ家や建物だけ設計施工でいけないのかという素朴な疑問があります。たしかにテレビ、カメラ、時計、コンピュータから自動車などの大きなものまで、メーカーによる設計から製造までのトータルな結果を商品として購入するのが普通です。住宅や建物と同じように注文生産による船舶なども造船所で設計されます。住宅や建物でも設計と施工を同じ業者が連続して行うことにより、設計者と施工者が責任のなすり合いをして発注者が困るというような心配がないとか、完全に設計が完了していなくても着工できるので工期を短縮できるとか、融資の斡旋からテナントの誘致まで面倒を見るとか、様々なメリットが強調されます。中には設計料がタダになるという詐欺まがいの営業もあるようです。設計という以上は人間がする仕事ですから、その人件費がゼロになるはずが無いことは少し考えれば分かることです。見積書に計上されない設計料は他の費目に紛れ込んでいるだけですが、騙される人もいるようです。

 その他のメリットは確かにあるかも知れませんが、ものごとは良いことばかりで済むものではありません。実は住宅や建物の設計施工には大きな落とし穴があるのです。それは住宅や建物が自分の敷地に建てられる巨大な構造物であるという特殊性です。一般の工業製品であれば、見て、そして手に取ってみて気に入らなかったら買わなければ済みます。船のように大きなものでも土地に固定されていないので、契約条件にマッチしなければ引き取りは拒否できます。しかし契約に違反した建物の引き取りを拒否しても、自分の土地に建っているところが違います。金を払わない、解体して更地に戻せと言っても相手はそう簡単に引き下がることはないでしょう。賠償金を貰っても手直しをして貰っても、完全に満足できることは先ず無いと考えるべきです。一部上場の大会社なら、滅多なことはないだろうと、頭から信用するのも危険です。建築工事は往々にして別の業者に丸投げされることがあります。ひどい時には丸投げをされた業者が、さらに丸投げする場合があります。こういう丸投げの実態に気が付かず元請の業者が工事をしているとばかり思っていたのに、実は元請の人は最初に一度顔を出しただけで遂に最後まで来なかった・・・という例は多々あります。このような丸投げの他に、工場生産と違って、建築工事を行う現場へ沢山の職人が集まって来るという作り方をする結果、色々な下請けが次々に入れ替わって工事を進めるという方式を採らざるを得ません。それらを一貫して全体の調和を取りながらコントロールして行くのは容易なことではないのです。

 また、施工者が利益を得るということは、お客様が損をしていることになります。企業である以上、利益の追求は必要ですが、有り余る利益を出されては、どんなに寛容なお客様でも良い顔は出来ないでしょう。

 建築家は建築主であるお客様と契約し、お客様のために建物の設計と工事中の品質監理を行います。当然、報酬はお客様から頂くので、建築家はお客様に対して誠実であり忠実でなければなりません。建築家は契約に従ってお客様の求める設計を終えたら、引き続き工事の品質監理を行ないます。建築家が工事中の品質監理で何をしなければならないかは、僅かに建築士法で建築士の業務として次のように定められています。「【建築士法】第18条3?建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実行されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。」この条文では工事監理者の権限がほとんど無いに等しく、「先生に言ってやろう!」と子供が告げ口をするような義務が書かれているに過ぎませんが、実際には民間連合契約約款を使うことで監理者の権限は破壊試験の強制にまで拡張されています。しかし、それよりも興味のある事実は、専業、兼業を区別しない建築士法では設計施工の場合に同一企業に籍を置いた工事監理者が認められていながら、このように建築主に報告する義務を明記してあることです。常識で考えれば分かるように、設計施工一貫の会社の自社の不都合を建築主にわざわざ報告に行くことは有り得ないことです。

 工事の品質監理をする者が建築家として工事会社から独立していれば、お客様の立場に立ってお客様の利益を守ることになります。他方、工事の品質監理をする者が施工会社の社員であれば会社の利益を守る義務があります。そのときお客様の利益と会社の利益が衝突し、施工会社の社員は悩んだ挙句に会社の利益を選ぶでしょう。

 そこで設計施工に何の疑問もなく信頼出来る方は設計施工一括の方式で家を購入されれば宜しいと思います。逆に「手抜き工事をして欲しくない」「明朗会計が良い」お客様は、工事会社からお客様の利益を守る第三者として、建築家という役割に任せた方が良いでしょう。

(A-4)建築家は敷居が高い?

「建築家は敷居が高い」という印象は、広く浸透してしまっているようです。私が初めてお会いする方から、建築家への印象をお話し頂く際にお聞きする感想です。建築家に家の設計を頼むときは、潤沢な予算と、何をされても受けられる余裕がないといけないと思っておられる様です。

 確かに先輩建築家はそうだったかもしれません。しかしながら現代は、建築家として果たさなければならない役割と責任が沢山あって、本当に誠実で実直な仕事が出来なければ務まらない職能だと実感しています。少し説明が抽象的になりましたが、建築士の免許を有して、建物の設計を行い、工事においては品質監理を行う、テレビドラマの主人公にもなりそうな華やかな仕事に思われがちですが、本来は考え確かめたことを図面や書類にしてお客様や施工者様に伝えるという、責務でガチガチに囲われた地道さが必要な仕事です。予算が少ないからと言って相談を拒むのではなく、一度相談されることをお勧めします。お気に召さないお話しであれば、他の建築家に相談されれば良いと思います。

 ですので、設計実績のお好みで選ぶのも宜しいですが、長いお付き合いになりますから、設計監理の仕事の進め方や、個人として長い付き合いが出来そうかどうかも、大事な判断基準になるのではないかと思います。

(A-5)家を建てられるかどうか、何が必要で何を用意揃えれば良いのでしょうか?

以下のモノが用意出来れば家は建てられます。

  (a)土地(家が建てられる敷地)

  (b)工事等代金

  (c)設計を行える建築士(建築家)

  (d)工事請負者(工務店・工事会社)

以上です。この4つの質によって家の質が決まってしまうと言っても過言ではないでしょう。

 

それぞれが純粋な意味で相互に規制や条件がなく、単純であればあるほど、工事に係わる代金や諸経費は割安になります。同じ大きさの家でも、関わる人数が多くなったり、何か規制や条件が掛かったりすると、経費や工事等が増えて割高の家になります。

 

また、上記の項目の内容を客観的に判断査定できるのは、(c)建築士(建築家)です。

例えば、(a)土地に家が建てられるのか?を検証します。たまにですが、家が建てられない土地を堂々と販売していて、それを購入しようとするとき、それを見間違えないように判断します。(b)工事等代金や諸経費が高いのか安いのか検証するのも(c)建築士(建築家)の役目です。(d)工事者の工事内容や質が、正しいかどうか判断するのも(c)建築士(建築家)の役割です。

(B-1)家づくりの順序を知りたい!

家や建物が建てられるとき、沢山の人々が関わり、長い時間を費やして造られていることはご想像できると思います。その長い期間に渡って沢山の関係者をコントロールするのは、機械でもなく法律でもありません。それはズバリ人間です。そしてその役割を、お客様ご自身が行うのは困難であることもお判りいただけると思います。では誰が行うのか?

 家を建てるときの仕事の種類を大きく分けると、はじめに家の図面を描く「設計」と、設計図を基にして組み立てる「工事」に分けられます。そして「設計」に関わる主役は建築家、「工事」に関わる主役は工務店の現場監督、実はこの二人さえいれば、長い期間に渡って関わる人々のコントロールが出来るのです。さらに付け加えれば、工事中の家の品質監理は建築家が行いますので、スタートからゴールまで、この2人さえ居れば家は充分に建つのです。

 この2人を主な登場人物にして、建物は下記のような順序で、それぞれ必要な人物の役割によって担当され、家が出来て行きます。

 

土地の売買   不動産会社・宅地建物取引責任者

  ↓

土地測量と登記 土地家屋調査士

  ↓

地盤調査    地盤調査会社

  ↓

既存建物解体  解体工事会社

  ↓

銀行融資    フィナンシャルプランナー・銀行・司法書士

  ↓

建物設計    総括意匠 (建築家)+構造設計者+設備設計者

  ↓

建設工事    工務店・建設会社・各工事担当職方

 

これら順序、担当とそれぞれ繋がりを持ち、お客様の家づくりの実現にお客様の立場で助言が行なえるのは、建築家です。

(B-2)建て替えか?リフォームか?どちらが正しいか迷っている。

お客様から「建替えか?リフォームか?」の相談を受けたとき、どちらも想定して工事費を試算し、その他の視点も加えてそれぞれのメリットとデメリットを一覧表にして検討較べをして頂きます。

 

比較する内容は、

  ・建物規模

  ・工事をして実現出来るもの出来ないもの

  ・工事費

  ・スケジュール

  ・法律的扱い

  ・耐震強度

  ・断熱性能

  ・建物の寿命

  ・将来の対応性

等々で、出来る限り総合的に比較判断出来る内容を揃えます。

 

ひとつの表で、建て替えとリフォームを想定し、どちらかを強調したり強く推薦したりせず、それぞれを客観的な立場で整理し、お客様が冷静に比較検討出来るようにすることが設計事務所の役目であり、強みです。

(B-3)土地探しで失敗したくない。

土地や建物の不動産情報はインターネットが普及した現在、とても情報を収集し易くなりました。不動産会社のサイトを覗けば沢山の情報が整理されて掲載されていて自由に見ることが出来ます。そのような沢山の情報の中から、お客様にとって相応しい土地を探し出せねばなりません。

 土地探しを始めるときは、まずはじめにある程度の希望を定めておいてから見始めた方が良いでしょう。

 ・ 場所・・・通勤沿線、駅、駅からの距離

 ※予算・・・総予算から家づくりに必要な金額を差し引いた金額

 ・ 環境・・・住宅街か繁華街か、学校や商業施設の有無

 ※広さ・・・お客様の希望プランを作ると、必要な広さが判ります

 ・ 所有・借用

 

そして候補地に出会ったときは、確認しなくてはいけない大事な情報がありますので必ず確認して下さい。

 ※土地の形状・・整形地、平坦地 以外は、家づくりに影響があります。

 ※道路・・位置や幅によって建てられる家に制限を受けます。

これらの情報を総合的に判断して、お客様の希望や予算に見合った土地であるかが判断出来ます。そしてその比較を中立な立場で出来るのは設計事務所であると言えます。特に※印の内容は、お客様との相談で判ってくることだったり、建築の法律から確認出来るものなので、不動産会社や工務店、銀行などが適切な判断を下せない場合があり、購入後希望が叶わないことが判ったり、追加の予算が必要になってしまうことが多く見られますので、ご注意下さい。

(B-4)工事を依頼したい工務店があるが、設計は別にしても良いのか?

お客様が信頼を寄せる工務店様は、これまでのお仕事の見事さや、お仕事に対する良き態度から気付いた信用等によって、お気に召していることと思います。その様な見事さや信頼は、簡単に築けるものではありません。

 ここでお客様の心配は、そんな工務店様にすべてをお任せした方が良いと思ってはいても、家づくりの一般的な方法として、設計と工事は別々にした方が良いというお話しを耳にしたからかもしれません。

 そこでお客様のご心配を解くには、まずは信頼を寄せている工務店様に、今の正直なお気持ちをご相談されることではないでしょうか?工務店様と相談して、お客様のこだわりを実現するのに一番満足が得られる方法が、そちらに一括で注文する方が良いと判断されれば一括で、工務店様との話し合いで設計者を入れた方が良いというお話しになった場合、はじめて設計事務所に話しを持ち掛けるべきではないでしょうか?お客様の満足が得られる方法の一つとしては、対話コミュニケーションが、言葉のひとつひとつから、話しの意味も良く理解出来ることがまずは入り口で重要なことでしょう。質問に対する答えが丁寧であったりすれば、今後確認する内容について判らず仕舞いで進んでしまい、後でトラブルになるという心配はなくなります。

 ちなみに、工務店様がご親戚等の場合で、お客様の親戚付き合いの点から「言いたいことが言えない」ことをご心配されて、第三者である設計事務所に設計だけはご依頼いただいたケースは沢山あります。

(B-5)用途変更の手続きが必要と言われたが、一体何の事だか判らない。

 建物にはその使い途によって、法的に見えない色でその使い方(用途)が塗り分けられています。建物が設計されたときもしくは完成したときに、会社のオフィス(事務所)として利用が始まった部分を、後に利用する人が変わって、飲食店として利用することになったとします。するとそこで使い方=用途が変わるので、建築基準法上の確認申請手続き=用途変更が必要となります。事務所から飲食店の用途変更では、法律の観点から

 ・ 構造荷重条件

 ・ 利用する人々の種別と人数による災害時の避難設備

 ・ 換気方法や消防の設備

等の変更が求められ、その内容の見直し確認が必要なのです。この変更手続きが済んでいないと、他の法律による許認可、例えば営業許可や開業許可などが得られない場合があります。

 何のことだか判らないのは、今まで経験しないことばかりだからです。

(B-6)家を造る前に形や色を確かめたい。

ご自分で形や色を決めて作れる工作や絵画は、誰の手を借りることなく自由に作れます。けれども家づくりとなると、法律や構造技術、はたまた予算も絡んで自分で自由に組み立てる訳にはいかなくなります。それでも心の中には家のイメージや希望が重なっていたり、モヤモヤと漂っていて、どうにかして本当に造り始める前には、何らかの方法で完成した状況を確認しておきたいという気持ちは当たり前のものだと思います。

 ではどうするか。コンピューターが無い時代は、縮小された模型を作っての説明でした。しかしながら模型では実際の室内の本当に細かい部分や、本物の素材や色の確認は困難でした。色彩の比較検討も模型を複数作らないと出来ません。

 現在ではとても便利に利用させてもらっているのが、3次元立体完成予想図(パース)です。とても精度が良く、お客様の中には実物と見間違える方も居るくらいです。コンピューターによるものなので、ひとつのパースに幾つもの異なる素材や色彩を試せることが出来て、とても便利な比較検討材料になります。形、素材、色など、本物に近い状態で検討や確認が出来るので、本物が完成したとき、実物を見たときの「あの感動」が少ない方もおられるようです。

(B-7)こだわりのイメージがあるが、誰に相談して良いか?

こだわりのイメージの実現には、3つの大事なことがあると思います。

 (1)相談する人に自分のイメージを全て説明する。説明方法は気にしない。

 (2)形の話し合いの段階で提示があった形に、少しでもイメージと違う部分があった場合、

   ためらわず「違う」と言うこと。その内容が初めに説明した内容と異なっても構わない。

 (3)常にコストを提示してもらうこと。

   「こだわり」と言うだけで、幾らでも予算があると思ってしまいがちなので、

   例え「こだわり」でもコストのことは忘れない。

 

以上の3点を要約すると、(1)形を実現する人 (2)イメージの修正に付き合える人 (3)コストを考える人、になります。この3つを兼ね備える人種とは、こだわりを持ったお客様の立場に立てる人と言えます。では、どんな人種か?建築業界で(1)形を実現する人は、大工さん、工務店の設計担当、建築家などではないでしょうか?そしてこの中で(2)イメージの修正に付き合える人は、個人的な性格にも寄与しますが、付き合ってくれる人は大勢います。ただし、会社の一部となる立場からすると、会社員は難しくなります。さらに(3)コストを考える人、つまりコストが増えれば会社や自分の利益が上がる立場や人は、冷静な相談、つまりお客様に対して「これをするとコストが上がるから辞めましょう」と言える人であるかどうかです。盛り上がった結果、コストの提示があった後、値段が高すぎて造れなくなった・・・という結果はよくあることです。そこで、コストの上下でも自らの報酬は変わらず、お客様のイメージの実現に助力出来るのは建築家しかおらず、最適であると言えます。

(C-1)予算が足りるか確かめたい!

家を建てるご相談を頂くと、まずお話しをするのは大きく分けて4つです。

(a) 敷地の情報

(b) ご家族のご要望

(c) ご予算

(d) スケジュール

もちろん敷地をこれから探す場合は、土地探しから始まりますが(b)(c)(d)を知っておかなければ、相応しい土地は探し当てられません。

 

頂いた(a)(b)の内容を前提に、当方のこれまでの経験則を下敷きにして必要な予算とスケジュールを試算してみます。もちろんその後の話し合いや設計などによって変化していきますが、決定ではないおおよその目処を、表にしてしましています。そこでこの試算総額が、お客様のご予算(c)(お手持ちの現金+銀行融資などの合計) と較べて見合うかという検討を行います。

・ 試算総額 < (c)ご予算 の場合は、計画はそのまま進められます。

・ 試算総額 > (c)ご予算 の場合は、

(b)のご要望(規模や内容)を変えられない場合は、ご予算を増やすご検討をして頂き、(c)ご予算を増やせない場合は、ご要望である規模を調整したり、内容を提案したりして、ご予算に合うように提案します。

(C-2)全体の予算を見積もってくれませんか?

当方は設計事務所なので、土地の売買、家の工事は致しませんが、全体のおおよその目安となる予算の組立をさせていただいています。その正確さを上げる場合は、それぞれの専門化に当方からヒアリングを行う必要があります。予算の組み立てには下記のような表を用いています。予算が厳しい場合は、建物の規模や内容(仕様)の見直しを含めた検討をしながら進めて行くことになります。

(C-3)1000万円台で家を建てたい!

家の価格は、おおよそその規模(面積)と内容(仕様)に比例して定まることが多いです。家が建てられる土地があって、新たに家を建てる予算が少ない場合は、予算に合わせて規模を小さくするか内容を薄くすれば家は建てられます。しかしながらそのようなことは総じて稀で「規模は大きく予算は少ない」というのがほとんどです。無茶な話しではありますが「無理が通れば道理引っ込む」で、道理を少し変えてしなければならないときもありました。お客様の予算と家の品質、設計事務所の業務報酬、工務店様の真っ当な利益、それぞれが確保出来れば、お客様の満足がいく家が建つことでしょう。

 そこで、これまでもその「道理」を少し横に置いた方法で家を建てた場合があります。定まった方法ではありませんが、様々な条件を整理して、建物が出来る仕組みへの深い理解と、携わる関係者への相互の信頼があれば実現できます。ここでは「特別なコストで家を建てる方法」としてご紹介させていただきますが、具体的にはお客様の様々な条件をお聞きした内容によりお伝え出来るものなので、ご説明が必要であればどうぞご相談を下さい。

(C-4)2000万円台でこだわりの家にしたい。

他の説明文でも申し上げていますが、家の価格はおおよそその規模(面積)と内容(仕様)に比例して定められます。家の総額は決して安価なものではなく、人生で何度も試せるものではありません。だからと言って、貴重な家づくりの機会で、誰かが決めた内容で妥協もしたくないはずです。家は一度建てたらそこに長い間住み続けるものですから、そこに自分のこだわりを詰め込みたいのは当然のことです。誰も止められません。しかしながら非情なことに、予算が潤沢にあればその希望は全て叶えられるのですが、限りある予算という条件が立ちはだかり、こだわりが実現出来るかどうか、分からないまま時間は過ぎていくと言った状態ではないでしょうか?

 冒頭に説明しましたが、ここでは家の価格はその規模と内容とこだわりの数に比例していると言い直した方が良いかもしれません。とは言っても、その「こだわり」は建築家にとっては「当たり前」かもしれません。もし「当たり前」ならそれは余計な心配であり、時間を無駄にしているだけかもしれないのです。一度その「こだわり」をお話ししてみてはいかがでしょうか?お話しをしてみたからと言って、料金が発生したり、無理な契約が結ばれることはありません。

 そもそも「こだわり」とはどんなものなのか、総額予算でどんな規模の家が建てられるのか、予算が足りない場合でも規模や内容を見直せば家が建つかもしれない、またはあとどれくらい予算を追加すればこだわり一杯の家が建つかもしれない、一度、診断されてみてはいかがでしょうか?

(C-5)4000万円台で二世帯住宅を実現したい。

最近は、それまで別々に暮らしていた家族が、実家に戻り一つの家に同居して住むケースが多くなっています。相互扶助の視点からもメリットは沢山あります。しかし、生活スタイルや習慣の違いを変えてでも同居するのは無理があるため、様々な形の二世帯住宅が生まれています。

 ・ 完全な同居(玄関一つ、キッチン一つ、水周り設備一つずつ)

 ・ 玄関・リビングが二つ、他は一つずつ

 ・ 玄関・リビング・キッチンは二つずつ、水周りは一つずつ

 ・ 全て二つずつ。形は左右分離

 ・ 全て二つずつ。形は上下分離(全て二つずつあるのは、将来の使い途を考慮した上で至った形でもあります)

本当に様々です。

 共有するものの数や家の形は、家族の要望から定まる場合が多いですが、予算によって定まる場合もあります。キッチンは別として、水周り設備=トイレ・風呂・洗面・洗濯は、利用する時間の工夫ややりくりで、一つでも充分な場合もあります。水周りの集約は、規模の縮小という意味でも予算の抑制に大きく反映されます。完成後の光熱費の抑制にもつながります。

(C-6)6000万円台で土地探しからの家づくり。

これから土地を購入して家を建てようとする場合、まずは土地の場所と広さ、家の規模と内容を、想定して予算を組み立てることから始まります。

 家を建てるのに必要な予算は、その規模と内容にほぼ比例しますから、想定は難しくありません。そこで条件によって価格が大きく変わるのは土地の値段です。総額予算が決まっている場合、総額から家を建てるのに必要な額を差し引いたものが土地に充てられる予算になります。その金額で住みたい場所の土地が買えるのか?という課題が出来ます。今はネットで不動産情報が手軽ににゅうしゅできるので、大まかでも判断出来るでしょう。土地の金額の相場からして、予算の範囲であれば、土地探しが始まります。(関連記事 B-3 参照)

 逆に予算をオーバーしている場合は、土地の場所、規模の見直しをして、予算の範囲で土地の狙いを変えるか?建物の規模や内容を見直すか?予算を増やす等をして、再度組み立てをして、土地購入+家づくりの目処を立てます。

(C-7)設計料の目安を知りたい。

本来、設計事務所の設計監理業務報酬は、建築士法による国土交通省 告示 第15号 で、建物の用途(種類)と規模から料率が定められています。しかしながら残念なことに設計料は、医師の診療報酬のように、その内容と金額がしっかり定まっておらず、患者様と行政からその代金が割引もされずに支払われるシステムにはなっていません。巷では設計料は無料にする設計施工一括請負の葉茶目茶な方式を掲げる会社もあります。

 けれども私達設計事務所が、お客様に家づくりの協力をさせていただくには、最小限でも必要な人件費が必要であることは、目処としてお伝えしなければならないと想い表にしました。ただし、飽くまでも目処であり、建物の用途(種類)、規模、内容により、詳細は変わりますので、その都度お見積もりをさせていただきます。設計料が無料の建物は、やはりそれなりの建物だと思います。

(C-8)特別なコストで家を建てる方法。

ご要望の規模や内容の家に対してご予算が足りなくて、規模や内容を小さくしたりすることが困難であるとき、様々な条件についてご理解を頂ける場合は、特別な方法によりコストを抑えて家を建てるご協力をさせていただいています。しかしながらこの方法には、様々な制約があるので、これまでお客様が見聞きしたことがない方法によって実現出来ています。建物が出来る仕組みへの深い理解と、携わる関係者への信頼があってこそ実る方法です。それをご理解していただいた上で、品質的にも、構造的にも十分なお住まいの実現にご協力させていただきます。しかしながら、お客様の希望や条件、担当する各方面の関係者の条件によって家づくりの方法が毎回結果的に異なるので、一般論としてここで示すことが出来ません。

 そこでお会いして相談を受ける必要があります。はじめにお客様から今判っている希望や条件を聞きます。その家づくりの希望や条件に合わせて建物を実現するための仕組みや方法を説明します。コストをどのようにすれば抑えられるか、建築業界の仕組みと裏側を説明し、ご理解をいただいた後に、特別なコストで家を建てる方法と、実際に実現した家のお話しをさせていただきます。

(C-9)家を建てるのにはどんな内容の支払いがあるのか?

家を新しく建て替えるとき、掛かる内容を順番に示します。はじめに今の住まいのまま新しい家の設計をはじめ、設計が終わった段階で仮住まいに引越し、建替えの工事を行うこととします。

・銀行融資 諸費用・・・・自己資金のときは不要です。

・敷地測量 費・・・・・・既に測量図があれば不要です。

・地盤調査 費・・・・・・建物を支える支持地盤の調査です。

・建築設計 料・・・・・・新しい家の設計を行います。

・建築確認申請 手数料・・役所への申請を行います。

・引越し 費・・・・・・・工事中の仮の住まいへ引越しをします。

・工事期間中仮住まい 家賃

・既存建物解体 工事費

・既存建物減失登記 費・・ご自分でも出来ます。

・新築建物工事 費・・・・地盤改良+建物本体工事+外構工事+設備引込

・工事監理 料・・・・・・設計図書通りの品質維持確認をします。

・地鎮祭等催事 費

・工事完了検査 手数料・・役所もしくは確認検査機関の完了検査

・建物登記 費

・家具/エアコン/備品 費

・電気/水道/ガス/通信の加入 費

・引越し 費

・保険加入 費

・不動産取得税

 

以上が一般的な家を建てる際に支払いが起こる内容です。これらを包括的に受けて住宅をお届けするのが所謂ハウスメーカー様です。煩雑になり勝ちな手続きや支払いをひとつの窓口だけで済ましてしまう方法です。お客様にとって面倒なことがないように思えますが、反面、何にお金が掛かり幾ら掛かったのかが判らなくなり、果たして全体の金額は取得した財産に対して真っ当な金額だったのか不透明になり勝ちであることが、経験された方々からお聞きします。

(C-10)家を建てるのに全部で幾ら費用が掛かるのか?

前項で説明した順序で家の建替えをした場合、その金額を試算をしてみます。条件によって様々値段が異なりますが、飽くまでも目安として参考に留めてください。正確には各専門担当者の見積りが必要です。(見積り(みつもり)とは専門担当者に依頼したい内容を伝えて(提示して)、その代金が幾ら掛かるか、実際の作業前に提示して貰うことです。)建替える建物は、既存も新築も、木造2階建て、延床面積30坪(100m2)とします。敷地面積30坪(100m2)平坦地、外構面積15坪(50m2)(作庭別途)とします。

・敷地測量費・・・・・30(万円)(以下単位万円)

・地盤調査費・・・・・5

・建築設計料・・・・・180

・建築確認申請手数料・・・・・15

・引越し代・・・・・15

・工事期間中家賃・・・・・80

・既存建物解体費・・・・・250

・既存建物減失登記・・・・・10

・新築建物工事費・・・・・2600

  (地盤改良等100 + 建物本体30坪×75万円/坪 + 外構等200 + 設備引込50)

・建築工事監理料・・・・・80

・地鎮祭等催事・・・・・5

・建築工事完了検査・・・・・5

・建物登記費・・・・・20

・家具/エアコン/備品・・・・・家具50 / エアコン50 / カーテン20

・電気/水道/ガス/通信・・・・・水道20

・引越し代・・・・・15

  合計・・・・・・・・・3450(万円・税抜き)

 

・火災(地震)保険加入・・・・・別途

・不動産取得税・・・・・別途

 

概略試算をした金額です。参考として頂ければ幸いです。

(C-11)家を建てた後、掛かる費用はありますか?

家を建てた後、掛かる費用があります。それはまず翌年請求される、不動産取得税です。そして、毎年必ず掛かるのは、都市計画税と火災(地震)保険代。そして当たり前ですが、光熱費です。

 

また、家は、自動車のように車検はありませんが、どうしても経年で劣化し、数年に1度、取替え等を余儀なくされる部分があります。それらを列記します。

 

<外部>

○ シール・・・サッシや外壁に使われていて、家の揺れや伸縮しても穴が開いたりしないように埋められているもの。ただし、7~10年くらいで硬くなり、伸縮しなくなってしまします。雨水等が建物内部に侵入する原因になり、水分が建物を劣化させる原因になるので交換が必要です。

○ 屋根・防水・・・表面が保護されていない塗布防水、シート防水は劣化するので、サイクルに合わせてやり替える必要がありますが、他は定期的な確認を行えば良い場合が多いです。

 

<内部>

○ 畳

○ 壁紙

○ フローリング

○ タイル

 

<設備>

○ エアコン

○ コンロ

○ 排気ファン

○ 風呂

○ トイレ

○ 給湯湯沸かし器

○ 照明器具

 

これらの取替えを本当にすべきかどうか診断するのも建築士です。工事をする方は、どうすれば良いか相談すると、そのほとんどが「交換が必要」と答えるでしょう。

(C-12)家を安く建てるにはどのような方法がありますか?

家の価格金額コストを抑えることは決して簡単なことではありません。それは工事をする関係者の中には自分の利益を確保するために努力する人がほとんどですが、逆にお客様のコストを抑えようと努力する人が居ないからです。それは自らの利益を縮小することになるので、悲しい説明からしてしまいましたが現実です。ではどうするか?項目を上げると以下の様になります。

  (a)面積規模を必要最小限にすること

  (b)建物形状を単純にすること

  (c)部屋の数を少なくすること

  (d)関わる登場人物を少なくすること

  (e)上記(a)~(d)を理解して実行する建築家をパートナーに選ぶこと

です。

 

(a)面積規模を必要最小限にすること とは、

工事金額は原則その規模に比例しますから、出来る限り余分な場所を無くして、面積を必要最小限にすることです。しかし、それぞれの部屋を最小限にしても隣り合う部屋との関係や動線を解決しなければならず、最小限にするにはプランニングの技量が必要になります。

 

(b)建物形状を単純にすること とは

造り易くすることです。同じ大きさ粘度で作った彫刻があったとします。ひとつは直方体6面体、もう一方はダイアモンドの58面体とします。どちらが手間や時間が掛かるでしょうか? それは面数の多い方ですよね。同じ大きさでも手間の掛かる方が値段が高くなるのは理解出来るでしょう。家も同じで、全体の形を単純明快にすることは作り易さにつながり、手間も少なくなり、工事費も抑えられます。

 

(c)部屋の数を少なくすること とは、

中身の要素を少なくすることです。ここに同じ容積の弁当があったとします。ひとつはご飯だけの日の丸弁当、もう一方は間仕切で区切られた中に沢山の種類のおかずが詰まった幕の内弁当。前項同様、同じ容積でも種類も手間も多い方が時間も値段も高くなるのは歴然としています。部屋数が多くなれば、扉も照明も収納もエアコンも増えます。当然、数が増えれば工事費も高くなります。つまり出来る限り部屋数を少なくすることはコストを抑えることにつながります。

 

(d)関わる登場人物を少なくすること とは、

家を建てることに関わる人数を最小限にすることで、人件費を抑えることです。全く同じ形、大きさの家があったとします。これを造るのには同じ材料と同じ職方さん達の作業が必要です。ここまではコストにさほど差が出ません。これに取り巻く必要関係者としては、設計者(建築家)と職方さん達を取りまとめる工務店様だけで済みます。これに対しハウスメーカー様は、営業窓口様から沢山の会社員を抱え、大きな社屋を持ち、大々的な宣伝をしています。これらの人件費や宣伝費は全て工事費に含まれます。どちらが高額になるかはお判りでしょう。関わる登場人物を少なくすることは、設計者(建築家)と職方さん達を取りまとめる工務店様だけの組み合わせです。

 

(e)最後に上記(a)~(d)を実現するにはどうすれば良いかということになりますが、面積規模を最小限にしながら建物形状を単純にしながら部屋を増やさない様にすること、すなわち、工事をする方々の経費を圧縮する(企業努力や利益を圧縮する)こと無く、自らの技量=デザイン力でコストを抑える方法を実行出来るのは、建築家(設計事務所)しかいません。

(C-13)家の工事金額価格を見積り比較して決めたいが、どのようにすれば出来るでしょうか?

コストを比較して家や建物の内容を決める場面は沢山あると思います。それは例えば、

  (a)構造の種類を選ぶとき

  (b)階数や面積規模(プラン)を決めるとき

  (c)キッチンや扉や仕上げ材料などのアイテムを決めるとき

  (d)工事をしてくれる工務店様を選ぶとき

などです。

 

しかしながら、これらの比較が出来るのは、建築家(設計事務所)と相談をしていないと出来ません。設計施工一括のハウスメーカー様や工務店様にとって、内容を比較してコストを下げて選ぶ作業は、自分達の利益を自分で下げる行為になるからです。

 

(a)構造の種類を選ぶとき、

木造か鉄筋コンクリート造かを、その長所と短所、そしてコストを踏まえて提示して比較検討の後、お客様に選んで頂いています。

 

(b)階数や面積規模(プラン)を決めるとき、

お客様の要望は一緒でもその答えが複数の案になるときもあります。それが平屋になるのか2階建てになるのか、それとも3階建てか。複数案を提示してお客様の検討の上、選んで頂いています。

 

(c)キッチンや扉や仕上げ材料などのアイテムを決めるとき、

同様に、カタログやサンプルを複数取り寄せ、値段の差も考慮して、全体のバランスを考慮しながら、お客様のお好みをお聞きしています。

 

(d)工事をしてくれる工務店様を選ぶとき、

お客様と検討を重ねて設計図を作成した後、この設計図を複数の工務店様にお渡しして、お見積りの協力をお願いします。複数の工務店様に同じ設計図を渡すので条件は全く同じになります。そして頂くお見積り金額とその見積書の内容により、どちらの工務店様に工事を依頼するか、公平に比較検討が出来ます。これはひとつの設計図があるから出来るのです。よく勘違いをされるお客様は、複数のハウスメーカー様に自らの希望を言い、プランと工事金額を頂いて、比較検討しようとするお客様がいますが、客観的な意見を言ってくれる者もいないので、結局は正しい判断が出来ません。プランも規模も各社様違いますし、工事金額も異なります。それを繰返していくと、工事金額が本当に真っ当なのか割高なのか判らなくなり、最後には自分の本当の要望が叶っていないプランで、かつ又予算をオーバーすることが判っている会社様と契約し、ある段階で「おかしい」と気付き相談に来られるお客様がいます。そうなっては私達設計事務所はどうすることも出来ません。どうしてもハウスメーカー様に工事をしてもらいたい場合は、設計は設計事務所と相談し、工事をハウスメーカー様にお願いすることをお勧めします。

(C-14)あとから価格金額が上がるのが心配です。

工事が無事終了し、最後金額の精算支払いとなったとき、はじめに取り交わした契約金額と違う!ということになり、最後になってもめたという事を良く聞きます。この原因で多いのは、工事中にお客様自身が、設計者や工務店の監督が不在のところで、現場で自分の好みを言って加えたり変えたりしていることが発端で、職方さんはお客様からの指示ですから言われた通りに造り、お客様は自分が指示したことがまさか値段が変わることとは思わないので気にしないでいると、当然追加工事となって請求されます。設計事務所がいる場合は、新たな追加のご要望があるときは必ず金額を確認し、お客様の承諾を得てから追加工事の着手をすることを徹底していますので、最後にお客様の勘違いでもめることはありません。

(D-1)免震構造を検討したい。

 阪神淡路大震災、東日本大震災、そして最近では11月に長野北部で震度6弱を観測する地震がありました。崩壊してしまった建物の映像が記憶に新しいままです。しかし倒れてしまった建物の共通点は、昭和56年以前に建てられたものであるということです。昭和56年に、建築基準法が大きく改正され、耐震基準が大きく強化されました。そのため、先に上げた大地震でも、昭和56年以降に建てられた建物は崩壊していないのです。まずその事実はしっかり把握していただきたい事です。

 それでも、先に上げた大地震よりも強い地震が無いとは言えませんし、どんな地震に見舞われても健全な住環境を維持したいということになると、建物を地面から離して、強い地震の力から建物を免れる構造にすることが必要です。建物上部本体と地面にある基礎構造の間に緩衝材を差し込んで、地面と建物本体が固くつながらず、緩く置かれている様にします。これが免震構造の仕組みで、強い地震の揺れるエネルギーを建物上部本体に直接伝えないことで、建物が壊れない様にするものです。

 免震構造の建物を建てるには、少なくとも以下の4つが必要です。

 ・ 地震時に建物が壊れないために移動振幅する敷地の余裕。

 ・ 建物本体価格の1.2~1.4倍程度の割り増し予算。

 ・ 地中支持地盤が平らである敷地。

 ・ 免震構造建物を設計出来る設計事務所+構造設計事務所。

これらのノウハウを北島設計事務所は有しています。

(D-2)防音になっている音楽室・映画鑑賞室・カラオケルームが欲しい。

自宅で周りを気にすることなく自由に好きな音楽、映画、カラオケを楽しみたい!とても素敵な趣味です。一人でも楽しめますし、皆でも楽しいひと時を過ごせます。

 しかし、その音源は外に向かって音であったり、振動として伝わります。楽しんでいる本人にとってはお気に入りのモノですが、他人にとっては迷惑なものになってしまいます。音や振動は、揺れない重たい壁で遮るか、柔らかい吸収材で吸い込んでしまうかしかありません。周囲の皆様に迷惑をを掛けずに楽しみたい。そのようなときは、公共建築の劇場音楽ホールの設計経験を活かして、予算とご希望に合わせた音楽室の実現にお手伝い出来ると思います。

(D-3)家宝骨董品を保存する収納室と披露する展示室が欲しい。

日本で生まれた家宝骨董品は、年を重ねる毎に脆弱になっていくものがあります。その原因は、温湿度の急激な変化や振動、紫外線や害虫、汚染空気や火災、地震、水害等といったものです。これらの害から宝物を遮断しなければなりません。美術館や博物館の収蔵庫が同じ機能室です。宝物の種類や創られた年代、収蔵室に対するお客様が求めるグレードとご予算にもよりますが、一定の温湿度が保てて、天災や人災から宝物を守る技術を施します。

 一方、貴重な美術品として皆様に披露する展示室も同様の環境が求められますが、美術品として一段と輝くような展示背景や台、照明などを設えます。博物館と美術館の設計経験を活かして行います。

(D-4)太陽光発電を導入したい。

太陽光発電の導入には、2つの視点で内容を検討し、問題がなければ導入をお勧めしています。

 (1)発電した電気の使い途

 (2)費用対効果

 

(1)の電気の使い途を考慮する場合、当然のことですが、太陽が上がっている日中しか発電はしません。そのため日中、発電した電気をすぐに使える状況 (家に日中居る、仕事場に発電パネルがある)であれば、発電は有効です。しかし、日中は常に外出出勤し、陽が落ちてから帰宅して電気の利用が始まるとなると、発電した電気を蓄電しておかなければ帰宅後の夜間、電気を利用出来ません。蓄電池の性能は、もう少し向上するまで待った方が良いと思われる状況です。停電時の発電を考えて導入をお考えならば、停電時は他の方法による発電機 (小型発電機や東京ガスのエネファーム等)を検討されることも良いかもしれません。

 (2)の費用対効果ですが、これは発電量による光熱費の換算と初期投資工事費の算定で、比較検討はすぐ出来ます。 以上(1)(2)の視点で検討した場合、双方とも良好な結果であれば導入をお勧めしています。なお、我々設計事務所が太陽光発電に対して出来る努力は、南面に向けた出来る限り広い屋根面を設けることです。

(D-5)断熱性能を高めて光熱費を安くしたい。

家づくりにおいて、断熱工事が必要な場所は、屋根、外壁、窓、1階の床です。切れ間なく外面に断熱をして、外部の温冷熱を内部に伝えないようにするのが断熱工事です。

 今現在は率直に言うと、当たり前の一般的グレードの断熱工事を施すと、非常に高い断熱性能が確保出来ます。逆に「高断熱の家」とか「外断熱の家」などというキャッチフレーズで高い断熱性能をアピールしているときがありますが、過剰なものであったり、間違いがあったりするものが多く見受けられます。他の部分で確保できない利益を、過剰な工事を勧めることで確保していることが見えみえです。

 一般的なグレードで高い断熱性能が確保出来ている理由は、窓ガラスの複層ガラスが一般的になり、屋根、外壁、床面の気密性や断熱材の性能が明らかに向上したからです。

 ここで注意しなければならないのは、その断熱材の性能をいかに長く発揮させるために、水や湿気で断熱材が濡れてしまったり、振動で形が変わってしまわないようにすることが肝心です。また断熱材を切れ目なく施すことも重要で、ある部分は外断熱、ある部分は内断熱とすることは、断熱材の確実な連続面が確保できないので、良く検討してから導入された方が良いでしょう。

 既存の古い建物を取り壊し、新しく建てたお客様は特に「とても光熱費が安くなった」と評価をいただいています。また、建物が大きく部屋数も多いときは、全体を魔法瓶のように考えて、外側の部屋も断熱層になれるような特別な設計も可能です。

(D-6)アレルギー発生材料のない家にする。

まず、建築資材に含まれるアレルギー反応を考える前に、失礼ながらお客様のアレルギー反応について、つぶさにお調べ頂きたいと思います。その結果をもとにして、使用をしてはいけない建築材料を科学的見地で調べ、使用して構わないと確認があった材料から使用する材料を選びます。設計段階ではこれまで。

 そして、工事に入る前に、依頼する工務店様にアレルギー性反応について理解のある工務店様と担当者を探します。本当にアレルギーに対して正しい理解を持った方でないと、アレルギーで困っているお客様の気持ちがわからないからです。

 さらに工事中に納入する材料については、改めて材料の素性と出荷証明の確認をして、お客様の心配を取り除いてアレルギー性反応材の無い家にします。

(E-1)二世帯住宅で家族の意見がまとまらなくて困っている。

家族が多ければ、家づくりの意見も増えます。一見バラバラでどうしたら良いか困ってしまうほど沢山の要望が積み重なります。それらを全て叶えようとすると、想像しただけでとてつも無い家になり、お金がいくらあっても足りそうにない・・・なんていうことになってしまったとします。どうするか?

 例えば家族構成はご両親と若夫婦とそのお子さんだとします。はじめは皆さんと私で一同に会って、家族の希望を話してもらいます。私は聞き役に徹し、ひたすらご希望をお聞きします。そしてその後、お一人ずつ別々にお話しをして聞きます。何故か?それはここでは伏せておきましょう。ここがミソだからです。そこからプランを練り始めます。そして検討したプランを皆様一同に会したところで見て頂き、ご意見を聞きます。その後すぐに、また別々に意見を聞きます。そしてまた検討。そしてまた一同で見て頂き、意見を聞きます。さらにまた別々に意見を・・・と何回か繰り返します。そしてプランが段々と出来上がっていくわけです。

 この場合の建築家の役割は、一同の意見を取りまとめながら、個々の皆の前では言えなかった細かな意見を聞いて、プランを組み立てることです。当然、この検討中には、予算、広さ、構造、設備、法律などの様々な条件を照らし合わせながらまとめていきます。皆で集まって意見を聞くのと、個々に意見を聞くという方法は、家族の中でも相手を思いやる気持ちが先に立ち、皆の前では中々自分の意見言いづらい風潮があるので、取っている方法です。

 家全体のことは全体で、細かなことと家族の誰かを思いやる気持ちは個々で聞いて、全体も個々も出来るだけ希望が叶えられるように設計します。

(E-2)別荘のリフォームを考えているが、建て替えるべきか?迷っている。

リフォームや建て替えを考える前に、まずは色々な場所柄の悩み、経年的な悩み、別荘の形の悩み、沢山ある悩みを知っておきたいと思います。例えば、

 ・ 斜面地なので眺望は抜群なのだが、地盤や土台が心配になってきている。

 ・ 冬は寒くて行かない。冬でも暖かくくつろげるように出来ないか?

 ・ 湿気がひどい。カビ臭くてたまらない。

 ・ 雪に潰されないか?屋根の雨漏りを治さなくてはいけない。

 ・ 建ててから随分時間が経った。屋根も外壁も傷みが激しい。

 ・ 段差が沢山あって、年を重ねた自分たちにとって、優しいバリアフリーにしたい。

 ・ 大地震が来たら壊れないか心配。耐震補強をするか?建て替えるか?

 ・ 電気ガス水道が古い。毎年故障して困る。

 ・ もっと掃除を楽にしたい。

 ・ デザインが古く思えるようになった。若い世代にも来て欲しいから新しくしたい。

 ・ 想い出が沢山詰まっている。大事な部分を壊さずにリフォームか建て替えが出来るか?

 ・ 家族が増えた。沢山の人数でも泊まれるようにしたい。

家族の希望を教えてください。皆様の想い出は無くさずに、過ごしやすい別荘になることが考えられます。その後にリフォームか建て替えかの検討や判断が出来ると思います。

(G-1)医院クリニックの設計は、専門業者がやっぱり安心?

今までにサポートをさせていただいた医院クリニックの方々は、そのほとんどがコストの透明性を求められて設計依頼を頂いた医師の方々でした。開院の計画を始めた時には、皆様医院クリニック開院を手助けするコンサルタント様から紹介された設計施工会社様だったようです。しかし全体予算を組み立ててみると、話しが進めば進むほど必要な予算が膨らんで、当初考えていた予算とはほど遠く「普通こんなものです。」の一点張りで、そこにはコストダウンの検討や提案はなく、不信に思い全く別の視点から設計事務所に相談する方針となった模様です。初めて独立開院をされる医師の皆様にとっては、開院に掛かる費用について先輩医師の方々から聞いてはいるものの、実際自分のことになると提示された金額が果たして真っ当なのかどうかの判断基準もなく、かと言って予算が潤沢にある訳でもなく、困り果てた上での選択だったようです。設計事務所に相談を頂いてからは、予算や条件に合わせた設計行っていくので、不安がなくなったようです。

 また、医療の方面では専門性を示して、内科、外科、耳鼻科、眼科、歯科・・・というように特化することが当たり前ですが、設計の業務では専門的に特化することは、逆に「それしか出来ない」ことを示していて、少し異なる内容が加わると(例えば住居+医院などになると)とたんに他の担当者が登場するなどというのは甚だ疑問です。また、繰り返しそればかり専門に関わっているからと言っても、設計施工一括である場合が多く、コストは高く不透明であることは、医師の方々からの説明から聞き及んでいます。

(H-1)店舗や飲食店の内装の雰囲気を確かめてから内装造りをしたい。

どんなに綺麗に平面図や断面図を描いてお見せしても、三次元かつ着色された素材のイメージをつかんでもらうのは困難です。お客様の希望のプランや内装の雰囲気をお聞きした後、その立体的で着色された雰囲気を確認していただくために完成予想立体図=パースを利用しています。

 ある程度プランが固まると、立体的な空間の把握、床・壁・天井の素材や色、照明や家具の検討確認を含めて、お客様の確認をしてもらいながら選んでいただいて方針を定めてもらっています。パースはコンピューターグラフィックなので、同じアングルの絵でも何種類もの色や素材の変化をお見せすることが出来ます。

 するとどうなるか?本物が出来た時のあの感動が、パースを利用して検討を繰り返せば繰り返すほど、少しなくなるようです。本物を見てもらった時「前に見た」と淡々と言われたことが何度かありました。反対に「こんなはずではなかった、イメージと違った」と言われたことはありません。

(H-2)店舗の内装にこだわりたい。

店舗の内装は、販売する商品やサービスの質をさらに高めるものとして、商品やサービスの雰囲気作りに合わせた、練られたものでなくてはなりません。商品やサービスは早い変化に対応可能ですが、内装や外装は簡単に変化出来ません。かつ非常に高価な投資です。安く簡単に済ませたいのは当然ですが、お客様の目は確かです。社長様が売りたい商品やサービスが上質であればあるほど、店舗の内外装の設えもしっかりと上質なものにしませんと、お客様の満足は得られないでしょう。「こだわる」という言葉に相応しいデザインをする、設計事務所の隠しきれない習性です。

(H-3)思い切った商品の見せ方をしたい。

我が国では物があふれ、華やかな彩りと明かりの元に素晴らしいディスプレイが、街のそこかしこに作られています。御社の商品は、そのような中でも埋もれず、輝かせておきたいはず。商品を囲うディスプレイや背景の設えにアイデアを含ませて、輝かせて見せることが出来ます。アイデアとは、周囲とのギャップであったり、意外性であったりという様々な資格的効果や、商品が消費される環境を整えて、お客様に商品の具体的な使用方法や効果を理解してもらうことで実現できます。それは、前職で担当させていただいた美術館や博物館の設計経験を活かして行います。

(I-1)工場の機械が壊れない建物にしたい。

東日本大震災で、工場の屋根などが落ちて機械が壊れてしまったり、建物は破損しなかったが機械が倒れたりずれたりして壊れてしまい、機械を修理したり新たな機械に交換することで、工場を再稼働するのにとても時間が掛かったという話しを沢山聞きました。

 多額の設備投資をした生産機械を守るにはどうすれば良いか、2つ方法があります。

 (1)機械を免震床の上に設置する。

 (2)工場を免震構造に建て替える。

 

今までに相談をいただいた会社の方の話しをまとめると、(1)床免震にしたり(2)免震構造の工場にすることで、機械が壊れて取り替えたり、生産中止期間の損失を考えると費用としては安価で効果が高く、被害を最小限に止めて納品先への迷惑を掛けないため、採用する企業様が多いです。

(I-2)工場施設の建て替え・修繕を全体像を見ながら相談したい。

工場の生産は休むことは出来ません。機械の進化や製造方法のへんか、生産の拡充などにより、現在の生産工場が狭くなったり、分散した工場の生産効率が低くなっていることが多くあるようです。とは言え、工場の生産を休止して建て替えるのは利巧ではありません。

 生産効率を上げる施設の建て替えや増築を、生産効率を下げずにおこなうには、工場全体の中長期施設維持管理も含めて検討が出来る設計事務所にご相談ください。何もしなくても少しの修繕で問題を解決出来るかもしれませんし、直ぐにでも取り替えないと危険な状況かもしれません。仮説計画も含めた、全体の見直しを客観的にした方が宜しいでしょう。手術するかは、治療が必要かは別にして、診断だけは必要でしょう。

(I-3)沢山ある施設建物の効率の良い建替・修繕・増築の計画を立てたい。

数多の大小施設建物がある学校や病院、工場や倉庫、研究所などの施設は、短かい間隔で建物のメンテナンスや建て替えが必要で、繰り返している必要があります。

 全体の計画を間違えてしまうと、全体の効率を悪くし、多大な損失を出してしまう可能性があります。建物施設は長い期間利用されるものですが、必要最小限のコストで造られる必要があります。工事をする建物の代替施設や工事中の安全計画などを、中長期の視点で見ないで、目の前の利潤や短期的視点では、会社の生産性を低くしてしまう恐れがあります。

 そこで相談先は様々な情報を集約して解析出来る能力、長期的な展望をもてる能力、利益追求ではない客観的視点をもてる能力を有する設計事務所が最適です。

(J-1)和風の家・店舗・内装にしたいが出来る人を探している。

得意とするデザインです。日本人建築家であるからには、逆に得意でないといけないと思っています。

 木、土、紙で出来ていた日本の伝統的な様式が、鉄、コンクリート、ガラスと電気による設備機器によって現代日本の生活や建物形式がガラッと変わってしまったことで、日本のデザイン、和風の表現も必然性がなくなり、所謂ハリボテの表層的デザインになりつつあります。現代でも扱われている商品やおもてなし、求められる生活によって建物も本物の日本的意匠から抽象的和風のデザインまで、相応しいデザインを提案しております。

 伝統的な日本意匠から、和モダンと言われる洗練された表現まで、その立体的構成と素材の選択で和を表現します。