神奈川県横浜市中区にある建築設計事務所です。内科、耳鼻科、眼科、皮膚科、精神科、整形外科、歯科、調剤薬局、整骨院、鍼灸院、ペット動物病院、医院モール、クリニックビル、併用住宅の開院企画相談・内装設計デザイン・工事監理を行っています。

使い易く居心地が良いクリニックを、安価に開院が出来るパートナーは設計事務所です。

(1)開業を思い立ったら

開業を思い立ったとき、既に周囲には開院をサポートする方々がいることでしょう。それは開院場所の紹介であったり、医院クリニックの内装を手掛ける人だったり、診療器具設備等を取り揃える人だったりします。今勤務している医院クリニックに通いながら、新たな開院の準備をするのはとても大変なことです。全てを上記の方々に委ね、準備が整ったら新しい医院クリニックに体だけを移し始められればどんなに楽でしょう。

  今まで設計事務所に医院クリニック開院の相談を頂いた医師の方々は、そのようなコンサルタントの方法に疑問を持った方でした。医師の皆様の想いは、

 

   ・内装工事費を明朗会計にして費用を抑えたい。

   ・医院の内装や診察室等の使い勝手にはこだわりがあり、出来る限りよく考えて作りたい。

   ・医院専門の設計と工事は分けて、手抜き工事をしないように品質監理をして欲しい。

   ・医院併用住宅なので建築家に頼みたい。

というものでした。

 

  医療の世界は、内科・外科・眼科・耳鼻科・歯科・・・と専門化されていますが、逆に建築の設計は専門化するものではないのが本来の姿です。専門化すると確かにその分野に集中出来るので、大失敗をしない技術者にはなれるかもしれませんが、多角的な視点や考え方が出来なくなって、本来白紙の状態から設計を始めなくてはならないのに、固まった偏った考え方によって、新たに医院クリニックを開院しようとする医師の方々の想いを受けきれないと思われます。

  今までに多数の医師の方々のサポートをさせて頂きましたが、本当に皆様それぞれ診療方針や患者さんどのように迎え入れるかという想いは、全く違いました。新たな状態から医師の皆様の意見を聞いて、ひとつひとつ検討設計を積み重ねていきますから、プランも形も素材も色も雰囲気も全く異なります。もし医師先生がその考えと同じでしたら、設計事務所とはどんなものか試してみることをお勧めします。

(2)場所探しの設計事務所の役割

既に開院をする場所や敷地が決まっている方には不要なサポートです。新たに場所探しをする場合のサポートで、特に設計事務所が得意とすることは、賃貸物件の空室情報が入手出来たとき、その場所が開院する場所として相応しいかを確認します。具体的には、簡単でもプランを描いて、

 

   ・医師先生の診療に必要な各部屋が入るかどうか?

   ・医院クリニックとして必要な部屋の高さは確保出来るか?

   ・診療設備の配管のスペースがあるか?

   ・看板や外装を含めた全体で、特別な予算が必要にならないか?

   ・大地震に耐えられる建物か?

等々を即日にチェックします。

 

早急にチェックをするのは、優良な物件だとすぐに他の人に申し込まれる可能性があるからです。場所的な患者さんのマーケティング、家賃価格、内装を作るのに問題ないかの確認が取れて、決心ができれば、開院する場所が定まります。なお、必要があれば空室情報の収拾もお手伝いしています。

(3)設計と施工の一括発注がなぜ悪い?

はじめに一括発注について説明します。先ず歯科メーカー様やハウスメーカー様に設計施工一括受注する考え方として、世の中ほとんどの製品をメーカーが設計し製造しているのに、なぜ内装や住宅だけは設計施工一括でいけないのかという素朴な疑問があります。たしかにテレビ、カメラ、時計、コンピュータから自動車などの大きなものまで、メーカーによる設計から製造までのトータルな結果を商品として購入するのが普通です。内装や住宅やビルと同じように注文生産による船舶なども造船所で設計されます。内装や住宅でも設計と施工を同じ会社が連続して行うことにより、設計者と施工者が責任のなすり合いをして発注者が困るというような心配がないとか、完全に設計が完了していなくても着工できるので工期を短縮できるとか、融資の斡旋からテナントの誘致まで面倒を見るとか、様々なメリットが強調されます。中には設計料がタダになるという詐欺まがいの営業もあるようです。設計という仕事は診療と同じく人間がする仕事ですから、その人件費がゼロになるはずが無いことは少し考えれば分かることです。見積書に計上されない設計料は他の費目に紛れ込んでいるだけですが、騙される人もいるようです。

  その他のメリットは確かにあるかも知れませんが、ものごとは良いことばかりで済むものではありません。実は内装や住宅やビルの設計施工一括発注には大きな落とし穴があるのです。それは内装や住宅が賃貸物件の部分や自分の敷地に建てられる巨大な構造物であるという特殊性です。一般の工業製品であれば、見て、そして手に取ってみて気に入らなかったら買わなければ済みます。船のように大きなものでも土地に固定されていないので、契約条件にマッチしなければ引き取りは拒否できます。しかし契約に違反した内装や建物の引き取りを拒否しても、借りている場所や自分の土地に建っているところが違います。金を払わない、解体してスケルトンや更地に戻せと言っても相手はそう簡単に引き下がることはないでしょう。賠償金を貰っても手直しをして貰っても、完全に満足できることは先ず無いと考えるべきです。大会社なら、滅多なことはないだろうと、頭から信用するのも危険です。建築工事は往々にして別の業者に丸投げされることがあります。ひどい時には丸投げをされた業者が、さらに丸投げする場合があります。こういう丸投げの実態に気が付かず元請の業者が工事をしているとばかり思っていたのに、実は元請の人は最初に一度顔を出しただけで遂に最後まで来なかった・・・という例は多々あります。このような丸投げの他に、工場生産と違って、建築工事を行う現場へ沢山の職人が集まって来るという作り方をする結果、色々な下請けが次々に入れ替わって工事を進めるという方式を採らざるを得ません。それらを一貫して全体の調和を取りながらコントロールして行くのは容易なことではないのです。

  また、一括発注した会社が利益を得るということは、医師先生が損をしていることになります。企業である以上、利益の追求は必要ですが、有り余る利益を出されては、どんなに寛容な医師先生でも良い顔は出来ないでしょう。

  建築家は建築主である医師先生と契約し、開院のために医院クリニックの設計と工事中の品質監理を行います。当然、報酬は医師先生から頂くので、建築家は医師先生に対して誠実であり忠実でなければなりません。建築家は契約に従って医師先生の求める設計を終えたら、引き続き工事の品質監理を行ないます。設計図の通りに工事が進んでいるか、品質をチェックします。常識で考えれば分かるように、設計施工一括の会社の自社の不都合を医師先生にわざわざ報告に行くことは有り得ないことです。

  工事の品質監理をする者が建築家として工事会社から独立していれば、医師先生の立場に立って利益を守ることになります。他方、工事の品質監理をする者が施工会社の社員であれば会社の利益を守る義務があります。そのとき医師先生の利益と会社の利益が衝突し、施工会社の社員は悩んだ挙句に会社の利益を選ぶでしょう。それでも設計施工一括方式に何の疑問もなく信頼出来る方は設計施工一括の方式で医院クリニックを作れば宜しいと思います。逆に「手抜き工事をして欲しくない」「明朗会計が良い」という医師先生は、工事会社からお客様の利益を守る第三者として、建築家という役割に任せた方が良いでしょう。

(4)内装工事に必要な費用予算の組立て

開院においては、様々な準備が必要です。その中で設計事務所が担当出来るの、医院内装、看板、家具の分野です。金額的には一番割合の大きい部門ですから、少しでも費用予算を抑えなくてはなりません。

  はじめに費用予算の割り当てがある場合、内装や建物や看板にどれくらい予算費用が割り当てられるかを試算して、その中でどのようなグレードの内装や建物になるかを説明します。

  内装を賃貸物件の中が何もない状態 (スケルトン状態と言われます) から作る場合、科目や広さによって変動しますが、坪当たり単価は20万円/坪~100万円/坪と様々です。本来は設計図に基づいて工務店様が見積もった金額で正確なものが算出されますが、予算組立ての場合は、科目・診療方針・広さ規模・内装のグレードを考慮して試算します。

(5)内装工事の費用と相場

スケルトン状態 (床壁天井がない場合) から内装のみを行う場合 (床壁天井+電気照明+エアコン空調等) を作る場合のコストを、坪当たり単価で示します (設計監理料は別)。単価に幅があるのは、仕上げのグレードや診療方針で内容が変わるためです。家具は除きます。

  

  ・X線室有の単科・・・30~60万円/坪 (内科・耳鼻科・整形外科など)

  ・X線室無の単科・・・20~50万円/坪 (眼科・鍼灸院・整骨院など)

  ・歯科・・・・・・・・・・・40~100万円/坪

  ・調剤薬局・・・・・・・・30~60万円/坪

  

ちなみに設計監理料は、工事費の15~25%を目安にして下さい。

(6)併用住宅

医院と住まい、どちらも長く付き合う場であり、独立開院する医師先生にとっては人生のほとんどをそこで活躍したり、くつろいだりする場となります。その二つを並べて建てることは、とても大変です。一つの場所に働く場所とくつろぎ休む場所が隣り合うわけですから、どのように二つを医師先生の希望に沿って叶えるかが大きな課題となります。

  医院専門を宣伝する工事会社や設計担当者は沢山目にするかもしれませんが、その方々が住宅も専門としているとは限りません。医療の世界では各科目において専門化することが常識かもしれませんが、建築の世界では逆で「医院専門」「住宅専門」とするのは「それしか出来ない」ことを表していて、発想の広がりが狭いことを意味しています。

  医院と住まいを同時にかつ幅広い多角的な見方で設計と監理が出来るのが設計事務所の強みであり役割です。診療し易く患者さんもリラックス出来る医院クリニックと、緊張から放たれた休み寛ぐ住まいを、予算を守って創るサポートを設計事務所が致します。

(7)使い易さの追求/患者様視点のデザイン

医院クリニックは主役である医師先生が、いかに負担なく診療と治療が出来るかを目指して設計し作られるべきです。そのためには医師先生の診療と治療の方針と具体的な方法を出来る限り共有して設計します。設計の立場の注意点は、これまでの経験は飽くまでも過去のものであり、新たな気持ちで医師先生の診療方針を伺うということです。過去の経験も必要ですが、それを「こういう風にするのが当たり前」とか「◯◯先生はこのようにしていた」という先入観を取り払って取り組もうと考えています。

  一方、患者さんが多く集まる医院クリニックは医師先生の診療治療の内容に比例するわけですが、一部には診療の時間まで待つという患者さんにとって「何も出来ない時間」に感じた感想で左右される場合もあります。待つ時間にいかに居心地の良い環境になれるかが患者さんにとって、次回も来たくなるかどうかの判断基準になる場合もあります。北島俊嗣建築設計事務所は以下の部位について注意を払って設計を行い、患者さんにとって居心地の良い医院クリニックとなれるように努力しています。

 

○素材や色彩・・・内装の基本となる床・壁・天井の素材や色彩選びは、何をテーマにするかによって千差万別のものになりますが、最後にその中から一つを選ばなくてはいけません。予算を守りながら、負担なく選択して頂くためのサポート提案をするのが設計事務所の大事な役割です。色のない、例えば真っ白の世界で清潔感を表現したり、木目を多用して柔らかさを持たせたり、はっきりとしたカラーで彩ることで診療の方針を表現するという方法もあるでしょう。医師先生とのコミュニケーションを充分に取って理解し、その内容を完成予想パースを利用して、なるべく現実に近い世界をCGで見てもらい、感想を話し合いながら、診療方針に合った内装になれるように進めていきます。

 

○照明・・・医院クリニックの診療に必要な照度明るさと、患者さんの清潔感や安心感を踏まえて、照明器具や照度明るさ、色温度(照明光源の色)を常に気を配っています。また当事務所では、患者さんが治療を受けている状態で眩しい状態にならないかという点にも配慮しています。患者さんが治療を受け上の天井を見上げていると、天井から照らせれている器具は眩しいものです。そのために間接照明にしたり、光源が見えないような工夫をしています。

 

○空調設備・・・温室度の体感は、男性と女性、お年寄りと青年と子供、元気な医師先生や看護士さんと具合の悪い患者さんにとっては、それぞれ違う感覚を持っているのでどんなに調整をしても全員が快適と思う環境にするのは困難です。それでも直接空調機からの風が当たらないようにしたり、部屋の中で暑さ寒さのムラがないようにしたりするなどの工夫をして、出来る限り快適な室内になれるようにします。

 

○患者さん同士のプライベート確保と相談室・・・個別の診療、治療を行う医院は問題となりませんが、複数の患者さんが隣り合う場所で診療治療を受けるとき、患者さん同士は隣の患者さんを見たくないし、見られたくありません。そのために完全に全てを個室にしてしまう医院もあります。医院全体が広かったり、潤沢な予算があれば良いのですが、個室にすると間仕切や空調が個々に掛かるのでコストアップになります。患者さんと患者さんが出来る限り目が合わないようにしたり工夫をしています。また診療方針の詳細な説明や、治療金額の確認など他の患者さんに聞かれたくないことを話す部屋を設ける医院も増えています。

 

○家具・・・患者さん達の医院への印象が口伝えで広がり、良い印象が広がれば口コミで医院への評価が集り患者さんも来院される、一番良い医院の発展方法と思います。印象はどう決まるか?言わずと知れたことをここでは上げませんが、見落とす部分がありますので紹介します。それは患者さんが座ったり触る家具です。診察台は別として、以外かも知れませんが患者さんは診察台にいる時間よりも、待っている時間が長いのです。その家具に気を使わない医師先生が沢山います。その家具に座っている居心地で医院クリニックへの印象も変わるときもあります。是非予算を確保して居心地の良い家具を用意して頂くようお勧めしています。居心地の良い家具とは、座り心地、触る感触も大事ですが、見ず知らずの人と隣り合いながらもお互いに気にすることなく待てる家具のことです。じっくり吟味して選びましょう。

 

○キッズコーナー・隔離診察室・・・未修幼児のご両親の治療の際、お子さんから目が届くところにいれば両親は安心して治療を受けられます。お子さんの面倒を治療中見れないという理由で治療を受けなかったり、治療中目が届く場所にいて安心出来る医院に通うことが多いようです。最近はお母さんに安心して診療を受けてもらうためのキッズコーナーや隔離診療室を用意する医院が増えています。

 

○トイレ・・・医院のトイレ設備や広さは、自分の家と同じ場合が多いです。身近なものなので比較され易いですから十分な配慮が必要です。(1)充分な広さ (2)清潔感のある上品な仕上 (3)清潔度を保てる工夫 (4)誰でも使い易い器具や造作家具の寸法 これらを設えるべきだと思います。

 

○上下足の選択とバリアフリー・・・医院の入口で靴を履き替えてスリッパに履き替える方法、靴を履き替えずにそのまま診療を受ける方法、現在の床仕上げ素材はどちらにも対応出来るので、(1)医院周囲の土砂ホコリの有無・・・周囲が舗装されていて土砂やホコリがない場合は、靴を履いたまま診察室に入っても清潔度は保たれるし、床も土砂によって傷付くことはないでしょう。(2)靴を履き替えても支障ないかどうかです。靴を楽に履き替えられる造作が出来れば良いと思いますが、お年寄りが靴を履き替えるのに支障があればそのまま履き替えずでも良いでしょう。床の段差はクツを履き替える替えないに関わらず、出来る限り平らにしてバリアフリーにすることは当然のことです。お年寄りにも足の不自由な方にも、車椅子を使う方にも当り前のサービスです。

(8)工務店の賢い選び方

「医院工事専門」この意味が正しく発揮されるのは、全て一括して発注するときに毎度工事している経験から「見落とすものがない」という意味では正しいと思います。しかししっかりと話し合って作り込んだ設計図があれば不要になると言えます。専門会社だから工事金額の見積り比較をしないで工事を依頼するととても高額な工事代金になるでしょう。設計図があれば、それに基づいて複数の工務店に見積依頼をすることが出来て、価格競争が出来て、品質を落とすことなく費用を抑えることができます。

(9)トータルデザイン

一度通院された患者さんや未だの方の医院クリニックの印象を「○○な病院」「○○のクリニック」という言い方で覚えてくれれば、口コミで広まることは期待出来るのではないでしょうか?そうなるための方法のひとつは、内装インテリア、看板サイン、診察券やチラシの患者さんの五感への印象が、強く明解で統一されているデザインであることが重要です。(具体的な形や色という意味ではありません)トータルデザインで統一された医院クリニックにするためには、それぞれの担当者を取りまとめる役割が必要です。常にとりまとめを行っている設計事務所がサポートすれば、心配はないでしょう。

(10)クリニックビル・医療モールの提案

医師先生が広い土地を所有している場合で、周囲に医院クリニックが少なく、新たに開院したい医師先生が複数いるとき、その敷地に複合科目と調剤薬局が同居する医院クリニックビルを建設するのはいかがでしょうか?土地を所有する方に複合ビルを建ててもらい建物オーナー(大家さん)になってもらいます。そこに競合しない科目の医師先生と調剤薬局に入居してもらい開院します。建物オーナーは医師先生から家賃を頂きます。医院クリニック短い周期では出入りをされないので大家さんとしても安定収入が期待出来ます。複数の科目の医院クリニックと調剤薬局が同居するので、周囲住民の患者さんも便利です。医師先生にとっても単独で開院するよりも患者さんが集り易く、初期の集客のお悩みも早々に解決出来ます。クリニックビルの建設運営は、地域の住民患者さん、入居する医師先生達、大家さん、皆さんに良い施設です。