●建築コスト・設計料・保証

(1)建築コスト

建物の値段が定まるのは、詳細まで描かれた設計図に基づいて工務店様からお見積りを頂いたときです。当方は設計事務所ですので、今ここで建物の正確なコストについて明言は困難です。また物価変動や人件費の変動で実際のコストはかなりの幅で上下します。(2013年~の上昇は凄まじいものがあります)

 

建物のコストが定まるには、以下の要因が関係します

<主な要因>

・建物面積・・・費用は造る面積にほぼ比例します。

・階数・・・地下はコスト高となり、地上の単価の1.5倍以上します。

    地下がない場合は、平屋建てが割高となります。

・構造種別・・・一般的には、木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造 です。

・用途種別・・・建物の中味の使い方です。外殻が同じ大きさでも、

    中に物品を収める倉庫は間仕切りや設備が少ないので安くなります。

    反対に部屋が細かく沢山あったり、設備が充実していたり、

    仕上素材が高級になれば単価は上がります。

 

<その他の要因>

・造成工事・・・土地が山林や傾斜地である状態を開墾したり、

    建物が建てられるように土木工事をするものです。

・地業工事・・・建物が乗る地面が固くない場合、

    建物は地中深くの固い地盤に乗せなくては沈んだり傾いたりします。

    建物底部と固い地盤までを支える杭や地盤改良工事です。

・地中障害物除去工事・・・以前建てられた建物の地中基礎が、

    今回建物に邪魔になるとき、取り除く場合の工事です。

・エレベーターその他特殊設備・・・エレベーターや防音音響映像設備、

    大型冷蔵庫や水槽、暖炉や特注風呂サウナ 等々です。

・インフラ引込み・・・・水道 電気 ガスなどの引込み工事です。

・照明・エアコン・カーテン・家具・・・お客様自身が購入できるものです。

・外構工事・・・建物周囲や庭の工事です。内容と広さにより金額が変わります。

・防犯設備・・・機械警備設備を設置するものです。

・太陽光発電・エネファーム・・・自宅でエネルギーを作るための設備です。

 

建物のコストが決まるには大雑把に見てもこれだけあります。ここでは主な要因の面積と階数と構造種別に絞って想定をします。それ以外の要因は「別途」になりますので、こちらに加算されます。なお、面積については建築面積(建物を上空から見たときの建物の大きさのこと)を同一に50m2とし、形は単純な長方形とします。

 

・木造 —平屋 50m2(15坪)・・・80〜100万円/坪

          —2階100m2(30坪)・・・75〜100万円/坪

          —3階150m2(45坪)・・・70〜100万円/坪

 

・鉄骨造—平屋 50m2(15坪)・・・120〜150万円/坪

          —2階100m2(30坪)・・・110〜140万円/坪

          —3階150m2(45坪)・・・100〜140万円/坪

 

・鉄筋コンクリート造

          —平屋 50m2(15坪)・・・120〜160万円/坪

          —2階100m2(30坪)・・・110〜160万円/坪

          —3階150m2(45坪)・・・100〜160万円/坪

 

この費用だけでは建物は建てられません。先に上げた<その他の要因>と設計監理料、その他の諸経費が加算されて全体費用が決まります。ですからお客様の建物コストを試算するためには、敷地の情報、建物の規模、構造種別、建物の仕様グレード、お客様の希望をお聞きしないとコストの想定が必要となります。なお、ハウスメーカー様が宣伝で公表している坪単価は、上記の中でも建物の骨格と屋根と外壁と内装だけであり、電気水道空調等は含まれていないことが多いので、単なる比較をすると間違うので注意が必要です。結果公表されているハウスメーカー様の坪単価は、上記のものより割高になっていることは事実です。

   混乱を招くようなないようになりましたが、お客様ご自身がハウスメーカー様や工務店様の表層の情報をだけを拾い集めて建物コストの算出をするのは後で間違いを起こす危険性が大きいので、必ず設計事務所をはじめとする、お客様の財産を蝕むことをしない専門家に相談することをお勧めします。

(2)設計料

はじめにこちらを読んで頂いている方が、「設計料をタダ」にして欲しいと思われているなら、いち早くここを離れ「設計料はタダ」を公表している会社から家を買っていただくことをお勧めします。

   建築の設計および監理と一言に云っても、それは以下のような業務の積み重ねで、ひとつ欠けても家は建ちません。以下は公益社団法人日本建築家協会が発行している「建築設計・監理業務委託契約書」より抜粋します。

 

<基本設計>

・建築主からの情報収集

・設計条件や方針の設定

・条件の分析と比較検討

・計画の総合化

・基本設計図の作成

 

<実施設計>

・実施設計に関わる建築主からの情報収集

・条件の分析と比較検討

・設計条件や方針の決定

・設計の総合化

・構造計画・設備計画・外構計画の統括

・実施設計図の作成

・実施設計内容の建築主への説明

 

<工事監理>

・施工者選定についての助言

・工事見積書作成事務への協力

・工事見積書内容の検討

・工事請負契約への助言

・設計意図を施工者に伝える業務

・施工図などの検討と承認

・工事と設計図書の照合

・施工者に対する竣工図作成の指導および確認

 

これらの業務の人件費や経費が設計・監理料となりますが、本来はこれを簡易的に建物用途と規模を定めて算出する「国土交通省告示第15号」の方式によって見積りします。(省庁が士業の業務報酬を定めているのに大きく無視されているのは建築士のみではないでしょうか?)

   ここでは設計監理料の目安をお知らせするものですから、敢えて目処として、住宅の場合の構造別で、(1)建物規模による目安、(2)工事費による目安、を示します。

 

(1)規模による設計監理料の目安

・木造2階建て・・・9〜10万円/坪

・木造3階建て・・・10〜11万円/坪

・S造・RC造・・・12〜14万円/坪

 

(2)工事費による設計監理料の目安

・木造2階・・・・2000万円—13% 〜 5000万円—10%

・木造3階・・・・2000万円—14% 〜 5000万円—10%

・S造・RC造・・・2000万円—15% 〜 5000万円—11%

 

ちなみに、一般社団法人東京都建築士事務所協会では参考例を示しています。

・木造2階100m2(30坪)・・・315万円

・RC造3階150m2(45坪)・・・730万円

(3)保証

家を建てるとき、各場面で様々な保証や保険が用意されています。下記の保証や保険によって、お客様の貴重な財産は保全されています。

   各保証や保険の説明の前に、設計事務所が工事を請け負う工務店から独立して、設計図に基づいた工事内容であるかを監理することで、お客様の立場で建物の品質監理が維持されていることを申し添えます。

   保証や保険は万が一のときのためであることを理解して頂くとともに、利用されないことを願い業務を進めています。

 

<設計時>

・設計の間違い・・・設計事務所は建築士賠償責任補償に加入しています。

   今まで利用していません。

・法的な間違い・・・間違いが修正されるまで法的許認可は下りませんので、

   間違いは起きません。

・設計事務所の破産・・・各業務完了時後の業務報酬支払い方式としているので、

   お客様が前払いで困ることはありません。

・建築家本人の不慮の事故・・・主宰者以外の所員および協力建築家による

   バックアップ体制を確保しています。

 

<工事時>

・建物が傾く・・・地盤調査を行って地盤改良等の方法が定められますが、

   万が一不慮の要因によって建物が傾いてしまった場合の保証として、地盤保証があります。

・工事中の火災や事故・・・工務店が火災保険に加入します。

・屋根防水不良による水漏れ・・・メーカー10年保証があります。

・工務店の破産・・・住宅瑕疵担保履行法により、瑕疵担保責任を確実に履行するための

   資力確保措置(保険加入または供託)の事業者への義務付け等が定められています。

   万が一、工務店が破産した場合等でも、2000万円までの補修費用の支払いが保険法人から受けられます。

   お客様は安心して新築住宅を取得できるようになります。

・ シロアリ保証・・・メーカー10年保証があります。

 

<完成後>

・作られた家に瑕疵(欠陥)があった場合に、これを補修したり、

   瑕疵によって生じた損害を賠償したりする責任が工務店にあり、

   新築住宅を供給する工務店は、住宅のなかでも特に重要な部分である、

   構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分の

   瑕疵に対する10年間の瑕疵担保責任を負っています。